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念書について
念書とは
「念書(ねんしょ)」とは、契約当事者が、契約の相手方に対して、約束事項(契約内容)およびそれらを守ることを誓約する旨を明記した書類です。一般的に、誓約する側が書類を作成し、相手方に提出します。
さまざまな目的で用いられる念書は、ビジネス・プライベートを問わず、会社、個人、夫婦、親戚、友人、知人などの間で幅広く使われます。
念書は契約書の1種と考えられますが、契約書は双方が合意の上で作成されるものであるのに対し、念書は作成者が約束を守ることを一方的に誓約し、相手方に提出するという点で異なります。ただし、念書は契約書と同様に法的効力を持っています。
念書の用途と役割
念書の用途
念書は、契約の当事者の一方が、契約の相手方に約束した事柄を明記し、記載事項を誓約する旨を伝えるために作成し、提出します。
念書には契約書と同等の法的効力があり、受け取った側は、文書作成者に記載事項を守る義務があることを証明する書類として活用できます。
念書の役割
念書は、その性質から、以下のような役割を果たすと考えられます。
- 契約事項(約束の内容)を明確にする
- 契約当事者の一方(文書作成者)に約束を守る義務があることを証明する
- トラブル・紛争の未然防止およびスムーズな解決
- 文書作成者に義務を果たすよう促す
念書の種類
念書は幅広い用途やシーンで使われます。以下のようなケースで念書が多く用いられます。
- 金銭貸借に関する念書(借用した金銭の返済について)
- 賃貸契約に関する念書(家賃の支払いについて)
- 就業規則違反に関する念書(就業規則違反をしない・違反した場合処分を受ける旨を誓約)
- 無断欠勤に関する念書(無断欠勤をしない・欠勤した場合処分を受ける旨を誓約)
- 社内不祥事に関する念書(不祥事のお詫び・同じ過ちを犯さない旨を誓約)
「契約書」や「覚書」などとの違い
念書と似た書類に「契約書(けいやくしょ)」や「覚書(おぼえがき)」などがあります。
契約書は、契約の当事者双方が合意しているのが前提ですが、念書は合意の必要がなく、当事者の一方(文書作成者)が守るべき事項を明記し、一方的に署名押印をして、相手方に提出する点で、意味合いや性質が異なるといえます。

なお、覚書は、契約の当事者双方の、合意した内容を忘れないように記録するための書類です。契約書の補助的書類としても使われます。したがって、契約書とも念書とも性質や使用目的が異なりますが、契約書と同等の法的効力を持つという点で共通します。

念書の例文
ここでは、念書の文例を紹介します。よく使われる言い回しやフレーズなどが記載されているので、文書作成の際の参考にしてください。
私、(氏名)は、下記の事項を遵守することを誓約いたします。
(誓約事項の記載)
私は貴殿から借用いたしました、(金額)円について、下記条件にて返済することを誓約いたします。
(返済条件の記載)
私は今後二度と理由もなく無断で会社を欠勤いたしません。これに反した場合は、いかなる処分もお受けいたします。また、処分内容について不服の申し立てはいたしません。
私は貴社を退職するにあたり、下記の事項を遵守することをお約束します。
(誓約事項の記載)
念書を作成する上での注意点
念書を作成する際は、以下のポイントに注意しましょう。
必要事項を盛り込む
念書に決まったフォーマットはありませんが、一般的に、契約当事者(文書作成者)氏名、契約の相手方(文書提出先)氏名、契約事項(約束の内容)、契約の期日、契約の場所、書類作成日といった項目を盛り込みます。また、書類作成者の署名・押印も必要です。
契約の当事者が義務や約束を履行する見込みがあるか
念書に記載する内容について、契約の当事者(文書作成者)が義務・約束を履行する見込みがあることも重要です。念書に記載された内容が、文書作成者に不利益をもたらす場合は、無効や取消となるので注意しましょう。文書作成者の義務の履行に際して過剰な負担を課すのはNGです。
約束の内容が公序良俗に反しないものか
念書の記載事項が公序良俗に反するものもNGです。記載事項が公序良俗に反し、さらに文書作成者がそれを実行した場合は法令違反となり、契約自体が無効になります。
不法な手段で作成された文書は無効となる
脅迫、詐欺、錯誤など不法な手段によって作成された念書は、作成者に不利益が生じる可能性が高く、書類が無効になります。
未成年者が作成した文書は取消になる場合がある
未成年者が念書を作成する場合、その内容に法定代理人(親権者や後見人など)の同意がないときは取消になるので注意しましょう。念書を有効にしたい場合は、法定代理人の同意が不可欠です。
収入印紙の貼り付けが必要な場合がある
念書の記載事項や契約内容により、印紙税法に定められた課税文書に該当する場合、収入印紙の貼り付けが必要なケースもあります。必要な収入印紙の額面は、契約金額等によって異なるため、あらかじめ調べて準備しておきましょう。
念書のよくある質問と回答
ここで、念書に関するよくある質問事項をまとめて紹介します。
念書全般に関して
念書の作成に関して
念書のまとめ
念書はビジネス・プライベートシーンを問わず、法人や個人の間で使われる文書の1つです。契約書や覚書などの書類と似ていますが、念書では契約当事者の双方が合意している必要はなく、当事者の一方が文書を作成・提出し、記載事項を守る義務を負うという点で異なります。したがって、ほかの書類と使い分けるとともに、使用シーンや用途に適しているかを確認しましょう。文書を作成する際は、本記事で紹介したポイントや注意点などをぜひ参考にしてください。
また、本記事内で念書のテンプレートも提供しています。無料でダウンロードしてお使いいただけるので、あわせてご活用ください。
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